医療費控除は、マイナンバーカードと対応スマホを使って、自宅から家族分もまとめて申告できます。ただし、家族なら誰の支払いでも自由に合算できるわけではありません。自動取り込みには、家族側の事前設定も必要です。
『ハテナのつづき』のナギです。スマホの操作より先に迷うのが「誰のカードで、誰の医療費を申告するの?」というところ。大阪市の医療費通知の注意点も交え、2026年10月24日に確認した制度と公開案内をもとに、手順を整理します。
家族分は「誰が払ったか」から考えよう
合算できるのは、申告する本人が、自分や生計を一にする配偶者・その他の親族のために支払った医療費です。生計を一にするとは、生活費などを共通にしていること。単に家族というだけで、支払いを全部集められるわけではありません。
たとえば、生計を一にする夫婦で、夫が妻と子どもの医療費を負担したなら、その支払いは夫の医療費控除の対象になります。妻に収入があっても、それだけで対象外にはなりません。扶養に入っているかどうかとは別の話なんです。
反対に、妻が自分で負担した医療費を「夫のほうが収入が多いから」と夫の申告へ移すことはできません。同じ支払いを夫婦それぞれで重ねて申告するのも不可。スマホを開く前に、実際の負担者を整理するのが出発点です。
用意するカードは、申告用と取り込み用で違う
ここでは、実物のマイナンバーカードをスマホで読み取る方法を紹介します。申告に使うのは申告者本人のカード。家族分の医療費通知情報も自動取得するなら、情報を取得する家族それぞれのカードと、マイナポータルの利用者登録が必要です。
「子どものカードがないと、子どもの医療費は申告できない?」と心配になりますよね。でも、カードが必要なのは家族分の自動取得のため。合算の条件を満たす医療費なら、領収書などに基づいて手入力する方法があります。
本人のカードと電子証明書の有効期限も見ておきましょう。カードが期限内でも、電子証明書だけ期限切れという場合があります。暗証番号を忘れていると途中で止まるので、資料と一緒に準備しておくと進めやすいです。
- マイナンバーカード読取対応スマホと、国税庁が案内する認証用アプリ
- 申告者本人のカード、数字4桁と英数字6~16文字のパスワード
- 家族分を自動取得する場合は、該当する家族のカードと登録に必要な暗証番号
- 申告する年分の源泉徴収票など所得の資料、医療費の領収書・通知
- 保険金や高額療養費などの金額がわかる資料、本人名義の還付先口座
家族分の自動取り込みは代理人設定から
本人のマイナポータルへログインするだけでは、配偶者や子どもの医療費は自動でまとまりません。申告する人を「代理人」、情報を提供する家族を「委任者」として設定します。家族の分を扱うための許可を先に整えるイメージです。
申告者と家族がそれぞれ自分のカードで利用者登録を済ませ、代理人・委任者の登録へ進みます。公式FAQでは、申告者側で「医療費通知情報サービス」と「確定申告への医療費通知情報提供」の両方について、委任を受けるよう案内しています。
家族が複数いる場合は、情報を取得する相手ごとの設定が必要です。閲覧できるようになっても申告用の提供設定が足りないと、取り込みでつまずくことがあります。家族の同意のもと、登録する相手と委任する内容を確かめて進めましょう。
スマホでは、申告年分と所得の入力から進める
申告書を作る入口は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」です。マイナポータルで医療費を見ただけでは申告は終わりません。作成開始から申告する年分と所得税の申告を選び、提出方法はマイナンバーカードを使うe-Taxへ進みます。
画面に沿って利用環境を確認し、アプリで本人のカードを読み取ります。初めて利用する場合は、e-Taxの利用者情報の登録なども必要です。続いてマイナポータル連携を選び、取得する本人・家族の情報を指定して申告書作成へ戻ります。
会社員なら源泉徴収票などをもとに給与の情報を入力します。医療費だけを送る手続きではないので、ほかの所得や控除も漏らせません。画面名や順序は年分・利用環境で変わるため、該当する年分の案内に沿って進めてください。
医療費の画面では、取り込んだ分と追加分を照合
所得控除の入力で「医療費控除」を選び、取り込んだ通知情報の対象者・期間・金額を見ます。自分が負担していない家族の支払いまで含まれていないかも要注意。取得できた情報が、そのまま全額、自分の控除対象になるとは限りません。
通知に載らない対象費用は、領収書などから追加します。家族のカードがない場合も、対象者や病院・薬局などの支払先、支払額、補てん額を整理して入力できます。自動取り込み済みの診療費を、領収書からもう一度足さないようにしましょう。
わたしが気になるのは、自動入力が便利なほど「これで全部」と思いやすいことです。対象になるかどうかと、通知に載るかどうかは別。追加する費用は治療の目的などを確かめ、通知との重なりがないものだけを入力します。
| 追加確認したい費用 | 扱いの目安 |
|---|---|
| 治療のために買った市販薬 | 対象になるものを領収書から追加。予防・健康増進目的は対象外 |
| 治療に必要な電車・バスの通院費 | 対象になる費用を追加。日付・受診者・経路・金額を記録 |
| はり・きゅう、柔道整復などの施術費 | 通知に載らないものがある。治療に直接関係するかを確認 |
| 自由診療の費用 | 保険外でも対象になる場合あり。美容目的などは含めない |
| 車のガソリン代・駐車料金 | 通院に使っても医療費控除の対象外 |
10万円を超えた分が、そのまま戻るわけではない
医療費控除は、税金の計算に使う所得から一定額を差し引く仕組みです。医療費そのものが返金される制度ではありません。基本の計算は、対象医療費から保険金などの補てん額を引き、さらに10万円を差し引く形です。
ただし、総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を使います。ここでいう所得は、給与の額面年収そのものではありません。控除額の上限は200万円で、実際の還付額は所得や納付済みの税額などで変わります。
たとえば、総所得金額等が200万円以上で、対象医療費が家族分を含め18万円、補てん額が2万円なら、控除額は6万円という計算です。これは仮定の例で、6万円の還付という意味ではありません。還付は納めた所得税の範囲になります。
ナギ家族全員で10万円ではなく、申告する人が負担した対象医療費を集計する、と考えると迷いにくいです
大阪市の紙の通知が届くまで待つ必要はある?
大阪市の国民健康保険では、紙の「医療費のお知らせ」に診療から数か月の時間差があります。2026年10月24日に確認した市の予定表では、2026年11・12月診療分の発送予定は2027年3月8日頃。手元に届く日は郵便事情でも変わります。
紙が届いていなくても、領収書に基づいて明細を作る方法があります。市は、マイナポータルの通知情報なら紙より早く確認できることも案内しています。ただし、取り込み時には、申告したい年の1~12月分がそろっているかを見る必要があります。
また、通知の患者負担額と、実際に負担した額が違う場合もあります。子どもの医療費助成や高額療養費などが関係するためです。給付金などは、その給付の対象になった医療費から差し引き、余りを別の医療費から差し引く扱いにはしません。
最後は送信結果と控えまで残そう
医療費を入れたら、所得・ほかの控除・還付先口座などを確認し、本人の電子署名を付けて送信します。申告書が画面で完成しただけでは、まだ提出前。受付結果を確かめ、申告書の控えや作成データも保存するところまでが一連の作業です。
領収書から手入力した医療費は、原則として確定申告期限等から5年間、領収書の保存が必要です。一方、医療費通知情報のXMLデータを申告書に添付して送信した場合は、その情報に含まれる医療費の領収書は保存不要という扱いがあります。
申告義務のない人の還付申告は、原則として対象年の翌年1月1日から5年間できます。申告義務がある人などは期限が別なので注意してください。まずは家族の支払いを負担者別に整理し、自動取得する家族のカードがあるかを見るところから始めましょう。





